マインドマップでアイデア創造 No.8 「マインドマップ・ブレインストーミング」

写真 「マインドマップを壁一面に描いたブレインストーミング」
マインドマップを壁一面に描いたブレインストーミング

塚原美樹です。

 

 

今回は、マインドマップを使ったブレインストーミングの方法について解説したいと思います。

 

「ブレインストーミング」という手法は、もともとは、アメリカの広告会社BBDOの創立者の一人であるアレックス・オズボーンが考えた方法です。

 

  • ブレイン: 脳
  • ストーム: 嵐

 

ですから、「脳の嵐」ですね。

 

簡単に言うと、何人かが集まって、テーマについて奇想天外なアイデアを、グチャグチャでいいので、とにかく出しまくるという手法です。他の人のアイデアから新しい連想が始まり、一人で考えるよりも、より多くのアイデアが出せると考えられています。

 

確かに、奇想天外なアイデアを考えている最中は、脳の中で嵐が起きているみたいな感じかもしれないですね。

1.ブレインストーミングのルール

ブレインストーミングは、以下の4つのルールに則って行います。

 

  • 結論厳禁

アイデアを制限するような判断は慎みます。実行可能性は後から考えますので、まず、実行可能か不可能かなどは考えず、アイデアをどんどん出しましょう。

  • 自由奔放

バカバカしいと思われるようなアイデアこそ歓迎して、どんどん出しましょう。常識的な考えよりも、ちょっとおかしい、ハメを外しすぎているというくらいのアイデアのほうが、良いものになります。

  • 質より量

アイデアの質にはあまりこだわらず、量を出しましょう。最初から質を求めると、脳が制限されてしまいます。くだらなくても、バカバカしくても、とにかく量を出すことです。

  • 便乗歓迎

他の人のアイデアに便乗して、アイデアを出すのも歓迎します。そもそも、複数名で行い、相互に影響しあいながらアイデアを考えるのがブレインストーミングですから、誰かのアイデアに何かを付け足したり、変化させたりして、新しいアイデアをどんどん出しましょう。

2.ブレインストーミングの準備

上記のように、自由奔放な考えをどんどん発言してもらおうとしても、参加メンバーの頭が普段の仕事のモードになっていて、解放されていないと、なかなかアイデアが出てこないものです。

 

ですので、ブレインストーミングの前に、準備運動的に少し遊びを入れると良いかもしれません。

 

たとえば、このシリーズ記事のNo.4でご紹介した「Yes, And」でつなぐ連想法をチームでやってみると、少し頭が柔なくなってくるかもしれません。

 

「ハワイに行ったら何がしたい?」というようなテーマで、グループメンバー全員で準々に「Yes, And」の連想をしてみてください。声に出して言うだけで構いません。

 

「ハワイに行ったら何がしたい?」

  ↓

「バーベキューしたい」

  ↓

「いいね、それと、サーフィンもしたい」

  ↓

「いいね、それと、フラダンスもしたい」

  ↓

「いいね、それと、シュノーケルもしたい」

  ↓

「いいね、それと、カラオケもしたい」

  ↓

「いいね、それと、ショッピングもしたい」

  ↓

「いいね、それと、探検したい」

  ↓

「いいね、それと、変装したい」

  ↓

「いいね、それと、いたずらしたい」

 

こんな感じです。バカバカしいようなアイデアが出ても、必ず「いいね、それと」でつないでいくことで、ブレインストーミングのルールの「自由奔放」がしやすいムードになりますし、自分の番が来たら、とにかく何か言わなくてはならないので「質より量」のルールも実行できます。

 

こういったアイスブレイクは、ほんの2~3分でできると思います。

 

その会議の主催者なり世話役なりが、これから行うブレインストーミングのルールを伝え、「頭の体操としてやってみましょう」という感じで、参加メンバーをほぐすようにして、やってみてください。

3.「SCAMPER」でブレインストーミング

オズボーンのブレインストーミングは、「オズボーンのチェックリスト」を使いながらアイデアを考えます。

 

「オズボーンのチェックリスト」をまとめ直したものが「SCAMPER」というフレームワークです。ですので、「SCAMPER」を使いながら、ブレインストーミングを進めてみましょう。

 

テーマに対して以下の一つ一つの質問を考えて、アイデアを出し合えばいいのです。

 

SCAMPER

  • S: Substitute (代用・代替)

他のもので代用できないか?

  • C: Combine (結合)

組み合わせたらどうか?

  • A: Adapt (適応する)

別のものをこちらに使えないか?

  • M: Modify (修正変更する・修飾する)

変えたらどうなるか?

  • M: Magnify (拡大)

大きくしたら? 誇張したら?

  • M: Minify (縮小)

小さくしたら? 軽くしたら? 分割したら?

  • P: Put other use (転用)

他の使い道はないか?

  • E: Eliminate (除去)

何かを取り除いたら?

  • R: Reverse (逆転)

逆にしたら?

  • R: Rearrange (再編)

部分と部分、要素と要素を入れ替えたら?

4.マインドマップでブレインストーミング

オズボーンのブレインストーミングは、特に板書の仕方などは指定がありません。ですが、せっかくですので、マインドマップでブレインストーミングを見える化しましょう。

 

誰か一人がファシリテーターになり、ホワイトボードにミニマインドマップをかくと良いでしょう。ブレインストーミングのアイデアはまとまりがありませんので、ミニマインドマップが適していると思います。

 

この際、大事なことは、全員のアイデアを、すべて見える化するということです。ファシリテーターが勝手に判断して、出てきたアイデアを排除しないようにしましょう。

 

アイデアが見える化することで、便乗がしやすくなるはずです。口頭だけでのブレインストーミングですと、前に出たアイデアに便乗するのが難しいですが、マインドマップにかいておくことで、いつでも見て、ひらめいたら新たなアイデアを追加することができます。

5.マインドマップでまとめる

ブレインストーミングで出したアイデアは、最終的には実行可能性なども判断して、まとめていかなくてはなりません。

 

この時もマインドマップだと、とても簡単に行えます。

 

  1. ホワイトボードに書かれているミニマインドマップのアイデアの中で、面白いと思うものに、別の色のマーカーで、「◯」をつけていきましょう。
  2. まとめられるものがあったら、まとめます。矢印を渡したり、同じマークをつける、同じ色で印をつけるなど、工夫することで、マインドマップの中でまとまりを作ることができます。この際、アイデアとアイデアがくっつくことで、新しいアイデアが出てくることもあるはずです。
  3. 「◯」のついたアイデアやまとまってきたアイデアについて、実行可能性を検討してみましょう。この時も「実行できるかどうか?」と考えるのではなく、「実行可能にするための良い方法は?」と考えたほうがいいです。実行可能にするためのアイデアが出てきたら、そのアイデアもマインドマップに書き足します。
  4. この段階になると、ホワイトボードのミニマインドマップは、書いていることが増えすぎて、だんだんグチャグチャになっているはずです。それで構いません。マインドマップの形にこだわる必要はありません。色や形、マークなどを上手く使いまとめていきましょう。次第にチームとしてのアイデアが、いくつかに絞られてくるはずです。
写真 「マインドマップがグチャグチャになっても構わない」
マインドマップがグチャグチャになっても構わない

さて、いかがですか? あなたも、一度、「マインドマップ・ブレインストーミング」やってみてくださいね。