マインドマップが役に立つのは、一言で言うと、「脳の自然な働きを生かしたノート」だからです。
脳の自然な働きには、「連想すること」「イメージを使うこと」「全体性を捉えること」といったものがあります。
私たちの脳は、リラックスしている時には自然と「連想」を続けます。頭の中で起きていることに意識を向けてみると、連想を止めようとしても難しいことに気づくでしょう。
つまり、「連想」は、もともと脳が持っている自然な働きなのです。
この脳の自然な働きを上手く活用しながら考え続けることができたら、「考える」ことはもっとスムーズになります。
マインドマップは、私たちの脳が自然と行っているこの「連想」を、そのまま「見える化」するために考案されました。
脳は、「何か」のきっかけがあると、その「何か」から自然と連想を始めます。
何かを考える時にも、一つの連想が思い浮かび、また別の連想が思い浮かび・・・といった具合に連想から始まり、次第に頭の中で考えがまとまってきます。
しかし、連想はどんどんと変化していってしまうという性質を持っています。
「せっかく良いアイデアが浮かんだのに、別のことが頭に浮かんでしまい、何のアイデアを考えていたのか分からなくなってしまった」
こんなことはありませんか?
頭の中だけで考えていると、連想がどんどん変化してしまうために、何を考えていたか分からなくなり、考え続けることが難しくなるのです。
そんな時こそ、「マインドマップ」を使いましょう!
マインドマップは、頭の中で浮かんだ連想を、そのまま「見える化」したようなノート術です。「見える化」することで、連想が変化しても、前に考えていたことに戻って考え続けることができるのです。
だから、マインドマップを使うと、考え続けることがラクになるのです。
たとえば、このマインドマップを見ると、自由自在に考えながら、思いついたことをどんどんかいているような印象がありませんか?
「マインドマップは、思考の結果ではなく、思考のプロセスをかくもの」と捉えると、上手く使いこなせるようになります。
私たちの頭は、最初から整理された考えを作ってくれるわけではなく、最初は混沌としたアイデアをバラバラに生みだします。
これが「連想」の面白いところです。
ですので、一見、関係ないように思えるアイデアが生まれたとしても、「これは関係ない」と勝手に判断せずに、とにかく、どんどんマインドマップで「見える化」してみてください。すると、関係ないように思えたことが、後から思わぬ素晴らしいアイデアにつながることが多々あります。
また、カラフルな太い「ブランチ (枝状の線)」のあるマインドマップの他に、ブランチに太さのない「ミニマインドマップ」というスタイルもあります。
ミニマインドマップは、そもそもまとめようとしておらず、ただ頭に浮かんだことをそのままに、浮かんだ順に素直にかいたものです。
こんな簡単なマインドマップでも、考えをまとめるのにとても役に立ちます。
脳は、色や形などのイメージを素早く認識します。また脳は、色や形などでイメージ化されたものを記憶しやすいという性質を持っています。
マインドマップは、色や形、イメージをたくさん使うノート術です。
そのため、パッと見て一瞬で認識しやすく、また、記憶にも残りやすいのです。
私たちは、毎日交通標識を見ています。
これらは、車を走らせながらでも、一瞬で認識できるように、色と形が特徴的になっています。
もしも、交通標識がモノクロの文字だけで作られていたら、認識のスピードが遅くなって、きっと事故を起こしてしまうでしょう。
私たちの脳は、文字よりもイメージのほうを素早く認識できるのですね。
仕事や勉強でノートを作る際にも、このイメージの力を使わない手はありません!
またイメージは、記憶を高めることにも役立ちます。
このマインドマップは、ビートルズの名曲「イエローサブマリン」の歌詞の内容をかいたものです。
3番までの歌詞を覚えるのに、こんな風にちょっとしたイメージが入っていたら、無理なく覚えられそうだと思いませんか?
このマインドマップは、英語で作られていますが、1週間の家族のイベントについてかかれていますね。
イメージがたくさんあるので、たぶん作成した人にとっては、何をするのか一目で分かるものになっているのでしょう。
また、マインドマップというのは、それ自体が一枚の絵のように見えませんか?
たぶん、あなたは、このマインドマップを1ヶ月後に見たとしたら、「ああ、見たことがある」という風に思い出せるはずです。絵のように見えるものは、記憶に残りやすいのです。
だから、勉強などで覚えておきたいことをイメージ豊かなマインドマップに作成しておくと、とても良い結果が得られます。
マインドマップの基本の柱の1つは「イメージを使う」ことなのです。
マインドマップの大きな利点は、全体を見渡せることです。
1枚の中にすべての情報が盛り込まれており、360度の全方向に広がっているため、それぞれの関連性を見出しやすいのです。
この「全体を見渡せる」という特徴のおかげで、マインドマップをかいていると、新たな発見やヒラメキが得られることがあります。
ゲシュタルト心理学の創始者の1人であるヴォルフガング・ケーラーは、「洞察学習」という考え方を提唱しました。
ケーラーは、チンパンジーを使った実験をよく行っていました。
ケーラーは、バナナを天井から吊るし、少し離れたところに箱を置いておきました。すると、チンパンジーは考えた末に、箱を移動してその上に乗り、バナナを取ることに成功します。
これは、そのチンパンジーが全体を見渡した時に、バナナを取る方法を突然ヒラメいて、問題解決に至ったということですよね。
ケーラーがこの「洞察学習」を提唱する前は、学習は「試行錯誤」によって獲得されるというソーンダイクの説が中心だったのだそうです。確かに、試行錯誤しながら、何かが上手になるということはありますね。
けれど、一気に方法が分かってしまうこともあるということに、ケーラーは気づいたのです。
洞察学習のポイントは、「全体を俯瞰する」ということです。
マインドマップをかいているとヒラメくというのは、やはり、全体を俯瞰できるからなのですね。
全体を俯瞰した際には、このマインドマップのように、関連するところを矢印で繋ぐようにするといいです。
全体の関連性がはっきり分かり、後から見ても分かりやすくなります。また、全体を眺めていると、どの部分が特に大切であるかが分かってくることがあります。そうしたら、その部分にマークをつけて目立たせると良いです。
このように、マインドマップは、ただ中心から放射状に広がっているだけでなく、全体の繋がりや全体の中での位置付けを、矢印やマークで「見える化」することもできるツールです。
それによって、新たな発見やヒラメキを得やすくなります。
あなたもマインドマップをかいたら、ちょっと俯瞰してみてくださいね。